著者:
高橋啓三(1979--82年;IAEAウィーン本部で核査察を担当。2003年:IAEAのOSART<原発安全運転精査チーム>メンバーとして、フランスのノジャン原発の安全運転状況と緊急時対応体制を精査。2004年ドイツのフィリプスバーグ原発、2005年オランダのボルセロ原発で、それぞれ緊急時対応体制を精査し、助言と評価を与えた。氏は、永年、核燃料再処理技術開発を研究し、原子力の再利用価値も、その危険も、恐怖も、身をもって熟知してきた。原子力に対する慎重な対応が如何に重要かを、最前線の現場で40年にわたって体験してきた。世界中のIAEA原子力技術者から信頼され、しかも一目置かれている。)/第1章から第5章までを担当。
手島佑郎(ヘブライ学者)/はじめに&第6章を担当。
本書の内容
第1章 東京および首都圏の被曝被害
首都圏住人の被曝量は? 住民の健康被害は? チェルノブイリの事実とは
放射能で汚染されたという水を飲めるか?
一般のマスクは有効か? 放射能で汚染された産地の米は?
放射能で汚染された産地の野菜は? 海水汚染地域の海産物は?
第2章 [ドキュメント]3.11から1週間何がおきていたか
3.11_; 東日本大震災発生
3.12_; 1号機が水素爆発
3.13_; 2号機弁と、3号機海水注入
3.14_; 2号機原子炉建屋が水素爆発
3.15_; 2号機で爆発音、4号機で水素爆発および火災
3.16; 火災そして白煙
3.17_; ヘリから海水投下
その後…… レベル7へ。
第3章 今回の原発事故は天災ではなく人災である
今回の事故対応で最大のミスとは何か?
リーダーシップをとるべきは誰だったのか?
「想定外」の一言で許されていいのか?
東電は大地震、津波が来ることを知っていたのでは?
国際評価尺度「レベル7」は適切か?
政府、東電にウソはなかったのか?
フランスの危機管理に学ぶべきものは何か?
ドイツの危機管理に学ぶべきものは何か?
オランダの危機管理に学ぶべきものは何か?
今回の事故は天災なのか、それとも人災なのか?
第4章 これから訪れる危機
汚染地域には今後10年、立入りできないのか?
1号機には十分な安全対策がなかったのか?
福島第2原発、女川原発はなぜ事故を免れたのか?
浜岡原発はやはり危険だったのか?
浜岡原発の緊急時対応は大丈夫なのか?
第5章 それでも原発は必要である
そもそも原子力発電所とは?
それでも「原子力はクリーンなエネルギー」なのか?
なぜ日本は電力供給を原子力に頼ってきたのか?
人類は原子力依存から逃れられるのか?
太陽光発電、風力発電は原発に代われるのか?
第6章 想定外を想定する叡智
歴史を記憶せよ ム 例外について
警鐘は以前から鳴っていた ム ハリケーンカテリーナの事例
菅首相の対応は間違っていたか ム 原子力災害法
全権指揮官は所長だったはずだ ム IAEAの重大事故管理ガイド
IAEA指針の思想と要点
素人の指揮が惨事を生む
原爆を克服した日本人
原発はオオカミと同じ
必要なのは人間の注意深さと謙虚さ
人間が間違いを起こす
プロメテウスが我々に残しているもの
おわりに
日本の原子力発電所一覧
著者プロフィール
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